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執筆者の写真幹雄 郷

スペアの機器を持つ意味

更新日:2023年5月24日

ヴィンテージ・オーディオと付き合って行く上で避けては通れない命題だと思います。


ではスペア機を持つと、何が有利なのか?


現在、入手が難しいパーツの保持、確保


これに尽きますね。



真空管やトランジスタ(選別されたFET系)、

ブロックコンデンサや

特定のメーカーのコンデンサや抵抗等々。


取付が特殊なスイッチや

オリジナルパーツのフェーダー(可変抵抗)なんかもそうですね。


ではスペア機を持っていてもあまり意味のない条件に参りましょう。



違う個体でも同じ箇所(パーツ)が壊れる・・・


どう言う事かと申しますと、


そもそもの回路設計に問題がある


又は、放熱に問題がある


パーツの耐用年数を10年〜15年と考えている

(又は実質それくらいしか保たない。でもこれ、普通ですね)


となります。



「回路設計に問題(無理)ある」一例として、


トランジスタや真空管に、

規定値内だが高目の電圧や多目の電流で動作させている。


※これはユーザーが高出力のアンプを好むせいでもあります。


新品の時は良い音でも、経年劣化で・・・となりがちです。


真空管アンプ全盛期なら、定期的な球交換を前提とした設計ですね。


何も問題はありません。


業務用機器に多い設計で、定期メンテナンスでお金はかかりますが、初期性能の維持が比較的簡単です。

むしろ業務としては好都合です。


個人で使う時の問題は

その要交換パーツが今現在入手出来るのか・・・

ここですね。そしてよくある話しです。



「放熱に問題がある」一例としましては、


放熱量が多いトランジスタや抵抗等のそばに、

熱に弱いパーツ、コンデンサなどが配置されている。


一般ユーザーからされると


「えっ、そんな事は百も承知で設計されているのではないか?」


と思われるでしょうが、実際そんな事はありません。


図面から実配線に起こした時、気が付かなかった・・・


コンパクトさを求めるあまり、放熱は後回しに・・・


実は今でもあります。昔の機材なら尚更です。



それと意外と多いのが

パワートランジスタの放熱に特殊なガスを使っているモデル。


たいていが経年劣化でその冷却用ガスが抜けてしまっています。

充填するガスは、今何処で入手?


修理させていただいても、またすぐに壊れてしまいます。とても残念です。



スペア機の保管について


無通電での保存はあまりおすすめはしません。


ジャンク品で無い限り、定期的に通電される方が良いです。


そして、日本での大敵は湿度です。


これから逃れるには、

24時間空調の低湿度条件での保存か、

布団圧縮袋にシリカゲル等と共に入れる、

これらの様な対策が必要です。


段ボール箱で押し入れ、それも一戸建て・・・

残念ですがどんどん劣化して行きます。


是非ご一考ください。



追伸、修理の際にパーツが欲しくてスペア機を持つ訳ですが、ここにお気をつけて。


同じメーカーでも、末尾の型番違いや製造年の違いで使われているパーツが大きく違う・・・なんて事も多々ございます。


また、上記とは逆に

型番や製造年が違っていても共通パーツが使われている事も、ございます。

これは海外メーカーさんに多いですね。


先ずはご相談ください。




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