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執筆者の写真幹雄 郷

Dual のオートチェンジャーを修理しない理由

(再記)

嗚呼、手間のかけ過ぎ・・・Dual1228 の巻


ebay出品者のアメリカ人曰く「動作品です」との事。


で手元に届いて、チェックするとあらら・・・


事の顛末は以下に。

けっこう長い文章になってしまいましたので、お暇な人は読んでみてください。



修理作業内容


先ず、

1: アームがガタついている(縦方向、横方向共)

2: ターンテーブルが手で回らない。モーターの回転音はする・・・

とりあえずこれらを修理するも


3: ターンテーブル回転時に擦れ音がする

4: 付属しているカートリッジ(Shure M95ED)で音出しをするも歪みが聞こえる。


針先とカンチレバーをクリーニングしダンパーを修正修理する。


5: 33-1/3回転の時のオート動作は正常。

だが45回転で動作させると、アームがレコードの端まで移動し下りる


ここまでは正常。


なのに、針先がレコード面に接していない!


宙に浮いている・・・ナゼ?


そしてもちろんEPレコードが聴けない・・・


又33-1/3 回転のレコードの内側になると針跳びをおこす事がある。


これらは過去の不適切な修理対応のせいであると確認出来ましたので、

修理作業の訂正と調整を施しました。


まだ続きます。


6: 33 1/3回転のレコードの内周になると音が少し歪んでいる。


楽器曲は判り辛いがボーカルは直ぐにわかる。

アームを指で内側に持って行くと微妙に力加減が変化する気がする。

インサイドフォース・キャンセラー機能にムラがあるのか・・・


これは原因の一つに構造的な問題である事が判明。なんとか気にならない程度まで軽減させましたが、この個体は出来るだけ軽い自重のカートリッジを使う方が良いと思います。


7: オートでアームが降りる時に「インサイドフォース・キャンセラー(以後 IFC)」を効かすと真っ直ぐ下に降りない・・・


あれこれ試してみて、今回だけ IFC のスプリングを弱くする事に。これで今現在、IFC 0g にて本当の0になっています。


8: 針圧が目盛りより0.25g多い目にかかる。


これは修理と言うよりオーバーホールの領域なので見送り。


お使いになる時に希望のg より0.25少ない目にしていただければ済む話しなので、これはこれで。


結局後日バラす事に。そしてこの誤差はもう少し減らしました


9: しばらく使ってみると

数時間経過で回転速度が少し早くなる症状が現れる。


もちろんこれで速度の微調整を取ると今度は冷えている状態から始動後しばらくは遅くなる・・・


モーターをバラしてクリーニングとグリスアップをしました。


最早オーバーホール作業です・・・


10: どうもフローティングのバネの感じがおかしいので、チェック。


バネフローティング機構の一部が

中でこすれていて本来の動作の妨げとなっていました。

これを修正。


11: 複数のカートリッジで聴き比べてもアコースティック楽器で歪みが聞こえる。


結局アームの軸受け、垂直水平共にバラしてクリーニングし再調整。


この時、針圧メモリと実際のズレを+0.15gまでに修正。


シュアーの針先とその周りにこびり付いていた粘着質の汚れを除去。


以上、修理修正作業はここまで。


もちろんターンテーブルの軸とアイドラーには適切なオイルを注入してあります。

またアイドラーも十分にしなやかですが、クリーニングとチューニングはしました。



結果的には


最初からオーバーホールする方が安価に提供出来たなあ

と切に感じた次第。


今回の反省点

「機械式のヴィンテージプレーヤーを部分修理で済まそうと企んだのが間違い」


そう言うわけで、オーバーホール作業のみ、承ります。

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